
| タイトル | そせじ(双生児) |
|---|---|
| 著者 | 山野一 |
| ジャンル | 育児漫画 / ほのぼのギャグ / 家族漫画 |
| 出版形態 | Kindle個人出版(KDPセルフパブリッシング) |
| 刊行開始 | 2014年7月15日(1巻) |
| 既刊 | 全4巻(継続中) |
| 山野一名義としての位置づけ | 『どぶさらい劇場』(1994年)以来20年ぶりの山野一名義新刊 |
| Kindle Unlimited | 対象(1〜3巻確認済み。4巻含め要最新確認) |
| 各巻価格 | 396〜440円(Kindle版) |
| 各巻ページ数 | 130〜160ページ(オール描き下ろし) |
| 応援サイト | https://favor.co.jp/soseji/ |
山野一はインタビューで「器は同じでも全く違う魂が宿っておるなと日頃嫁と話しております」と双子の性格差を語っています。一卵性双生児のミミ子とハナ子の対照的な個性が、本作の笑いと感動の源泉のひとつです。
「過去や抽象的なもので占められていた頭が、具体的・現実的なものに書き換えられていく」という山野一自身の言葉は、かつての鬼畜系作品が「観察者の視点」から描いた不幸を、育児漫画では「当事者の視点」から描いているという転換を示しています。主人公は常に弱者・敗者でしたが、本作では山野一自身が「どう見ても父親に向いてない中年男」として弱者・敗者の位置に立ちます。その自己客体化のユーモアが本作の独自性です。
- 第1話〜第8話(本編)
- そせじ日記
- プティそせじ
- イラスト・読み物
- ★シリーズ誕生話。やすお・クチ子・双子の日常
- 大難産1〜3(TTTS出産秘話)
- げんきの巻
- フーセンとやきそばの巻
- スーパーの男1〜6(外伝)
- そせじ日記
- 大難産4〜5(難産の続き)
- しょーかきの巻
- むっくんの巻
- そせじ日記・プティそせじ
- ★総ページ数の半分以上がカラーページ
- クチ子の両親・顔一おじさん登場
- 謎の新聞勧誘員・太郎社長・びじんづま
- 「史上最細密な描き込みと妄想が炸裂」
- ページ数増で奇跡のリリース
- ★双子の怒涛の人生「今まさに幕を開けたばかり」
2巻・3巻にわたって収録される「大難産」シリーズは、ハナ子とミミ子が胎内でTTTS(双胎間輸血症候群)を発症し、たらい回しの末に最先端医療施設と名医に出会うまでの実話を漫画化したものです。TTTSとは一卵性双生児特有の疾患で、胎内でつながった血管を通じて一方の胎児の血液がもう一方に流れ込んでしまう危険な病態です。当時は公的保険適用外で費用も高額でしたが、日本では他国に比べ比較的安価に手術を受けられたと山野は証言しています。
出産時の「やすおの不在着信13件事件」——クチ子が破水した際、出産はまだ先と油断して酒に酔っていたやすおが電話に出なかったという実話——は、今でも「夫婦喧嘩がこじれると最終兵器として持ち出される」と山野がインタビューで語っています。
読者レビューや書評の多くが指摘するのは、本作が「一般的な育児漫画」とはカテゴリーが異なるという点です。「育児漫画というより山野家の記録」「育児漫画というよりは父親漫画」という表現が複数の書評で使われています。一般的な育児漫画が「共感」と「あるある」を軸にするのに対し、本作は山野一という特異な個人の視点から切り取られた山野家の日常であり、読者は「共感」だけでなく「この家族、普通じゃない」という異物感も楽しむことになります。
「この漫画の父親は嘘つきです」と指摘する書評があるように、やすおは双子に対して平気で嘘をつきます(現在放映中のように見せてゲゲゲの鬼太郎DVDを見せるなど)。これを「面白い親だな」と見るか「ありえない」と見るかで評価が分かれます。「プチアル中」「プチ鬱」「ガチ貧乏」という読者の表現が示す通り、一見ほのぼのした育児漫画の底には山野一の自虐的・ブラックユーモア的な視点が流れています。
Amazonのレビュアーの一人は「ウオの目くんみたいなひょうきんで達観した山野先生ワールドと、無垢でちょっと粗暴なねこぢるさんワールドを一度に楽しめる感じ」と評しています。ミミ子の「終始黙っていていきなりパヂーンとたたく」という粗暴さ、ハナ子の「小姑みたいに自分の優位性を念押しする」という棘のある性格——これらの子どもの描写は、かつて山野一が描いた「人間の本性のひっかかり」という感覚と地続きです。
1994年の『どぶさらい劇場』刊行後、山野一はねこぢるの創作活動の裏方に徹し、1998年のねこぢる死去後は「ねこぢるy」名義での活動を続けました。山野一名義での単行本はずっと出ないまま2000年代が過ぎ、「2013年の漫画家生活30周年記念個展」でようやく山野一名義での活動再開の気配を感じさせましたが、それでも新刊は出ませんでした。
2014年に突如Kindleでセルフパブリッシングという形で登場した『そせじ』は、山野一名義の20年ぶりの新刊であると同時に、「出版社を通さずに直接読者に届ける」という形式への転換でもありました。かつての山野一の作品を受け入れる場だったガロ・みのり書房・スコラといった媒体がすでに存在しないことも、このセルフパブリッシング選択の背景にあると思われます。
| 1994年(どぶさらい劇場刊行)〜2014年(そせじ1巻)の山野一名義活動 | 山野一名義の単行本新刊なし。ねこぢるy名義での活動が中心。1997〜1999年に「たん壺劇場」(25話、マガジン・バン誌掲載)のみ発表。 |
|---|---|
| なぜKindleセルフパブリッシング? | かつての掲載媒体(ガロ・みのり書房・スコラ等)が休廃刊。現代の商業誌では掲載先が限定される。Kindleなら直接読者に届けられる。 |
| 作風の変化について | 山野一は「かつての作風と一線を画した愛らしいほのぼのとした作風」(Wikipedia)と評されるが、本人は「変わっていない。今の生活を描いているだけ」というスタンス。 |
- 山野一名義での1994年『どぶさらい劇場』以来20年ぶりの新刊(2014年7月15日 / Kindle個人出版)
- 「双生児(そせじ)」=タイトルの意味。50歳目前で双子を授かった山野一の育児体験を描き下ろし
- 登場人物:父・やすお(作者の分身) / 母・クチ子(ブエノスアイレス育ちの毒舌妻) / 双子の娘ハナ子・ミミ子
- 双子は胎内でTTTS(双胎間輸血症候群)を発症。「大難産」シリーズ(2〜3巻収録)で出産までの実話を描く
- 刊行データ:1巻2014年7月15日 / 2巻2015年4月10日 / 3巻2017年5月29日 / 4巻2020年5月10日
- 各巻130〜160ページ、396〜440円。Kindle Unlimited対象(1〜3巻確認済み)
- 「育児漫画というより山野家の記録」——共感型の一般育児漫画とは一線を画する山野一固有の視点
- 山野一の全単行本の中で最も入手しやすく、最も「入門」として推薦しやすい現役の作品
参考・出典:そせじ – Wikipedia(https://ja.wikipedia.org/wiki/そせじ)/山野一 – Wikipedia(https://ja.wikipedia.org/wiki/山野一)/そせじKindle版応援サイト(https://favor.co.jp/soseji/)/文春オンライン インタビュー(https://bunshun.jp/articles/-/56806)

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